TRAPEz scopeが生まれた理由

TRAPEzを開発するにあたり、様々な要素が詰め込まれました。そこで、生み出された理由の中から、TRAPEzを説明するのに分かりやすい要素をご紹介します。
また、総括として最後に「おわりに」があります。

  • 封筒に入れるために
  • 魔法の角度81.4692°
  • シンプルに、よりシンプルに

封筒に入れるために

TRAPEzは誰かに使ってもらう事を第一に考え、より簡単で安く作れることを念頭において設計されました。その上で、馴染みやすい、分かりやすいサイズとして規格の用紙サイズをパッケージのサイズに取り入れました。

童心に返って

TRAPEzは画用紙の上で生まれました。開発時に目の前にあったのは8つ切り(271mm × 391mm)画用紙でした。小学校の図工の時間に使った事がある人も多いでしょう。TRAPEzは子どもの頃の図工の時間の楽しさを思い出しつつ開発が進められました。

大人に戻って

大人の方には画用紙のサイズより、封筒のサイズやA版、B版のサイズのほうが馴染みがあると思います。できる限りパッケージを薄くするために、TRAPEzのメインコンセプトの一つとして「封筒が入るサイズにする」という指標を立上げました。

封筒のサイズ

日本で最も使用されている、書類を折らずに入れる事ができる封筒は角形2号です。角形2号はA4用紙(210mm × 297mm)が入るサイズで、TRAPEzは封筒に入れるため、A4用紙2枚に収まるように設計しました。角形1号の封筒が用意できれば、B4用紙1枚(257mm × 364mm)に収まります。B4用紙は8つ切り画用紙よりも少し小さいサイズで、子どもにも大人にも分かりやすいサイズです。このコンセプトを実現するため、様々な苦労がありました。

魔法の角度81.4692°

TRAPEzのデザインは安易に決められたのではなく、人間工学の知識を基にして設計されました。割り出された数値も統計で裏付けし、計算によって割り出されたものです。TRAPEzの名前の由来は台形を意味する英単語trapezoidですが、台形のデザインである理由と、81.4692°という角度の重要性について説明します。

スマートフォンの大きさ

スマートフォンの液晶サイズは4インチ前後から5インチ前後と大きくなってきました。機種によって縦と横の寸法が大きく異なるため、現在最も一般的な5インチ前後の液晶を持つスマホのサイズをベースにしました。2014~2015年に登場したスマホのサイズを使い、統計処理の結果幅75mm、高さ150mm前後の大きさのスマホが入るように設計されました。

台形である理由

簡易型VRスコープは長方形のものが多いのですが、これには二つ欠点があります。余分な力がかかりやすいことと、持ちやすさの改善がしにくいことです。台形は欠点を克服するために取り入れられたデザインです。

手のひらで支えやすく

簡易VRスコープの構造上、スマホは端に配置されているため、どうしても重心が片方に偏ってしまいますが、長方形だと手のひらの中心重心を支えづらくなります。目の前にティッシュ箱がある人は、手のひらの上に箱の角を置き、親指で支えようとすると辛いと思います。台形の形を取り入れることにより、重心を手のひらの上でしっかり支え、親指でバランスを取りやすくなります。

親指と人差し指で持ちやすく

簡易型VRスコープを手で支える場合、手のひら、親指、人差し指、中指で重さをほとんど支える事になるのですが、長方形だとレンズ側もスマホのサイズになるため、手が小さい人だと人差し指と親指で掴むのが困難です。TRAPEzは掴みやすいよう、レンズ側の幅を小さくしました。

81.4692°の秘密

TRAPEzは3.5倍のフレネルレンズを使っていますが、被写体-レンズ間の距離50mmの時が拡大率と歪みの一番バランスが取れました。レンズ側の辺の長さは使用しているフレネルレンズの大きさも考慮して60mmになりました。下底75mm(スマホ側)、上底60mm(レンズ側)、高さ50mmという条件の台形の底辺の内角…ということから81.4692°という角度が生まれました。

シンプルに、よりシンプルに

上二つのコンセプトは比較的簡単に取り入れる事はできましたが、最後の要素としてシンプルさの実現に大きく時間がかかりました。このシンプルさとは、TRAPEzの剛性、外装デザイン、組み立てのしやすさなどが複雑に絡んでいます。

難航したサイズの縮小化

当初はスマホを入れる部分が分離もしくは折り返したデザインを考えていましたが、サイズが足りず、スマホを面の内側に入れるように設計し直しました。サイコロの展開図のような形が最も剛性が確保できたのですが、これもサイズが足りませんでした。
途中から『コ』の字の形を組み合わせるデザインを思いつき、不足するサイズは面同士を「ほぞ」のように組み合わせる事で解決しました。

剛性の確保と組み立ての簡略化

最後に残ったのはレンズ側の面とスマホを支える構造で、メモや走り書きでノートが真っ黒になりました。サイズの縮小化と剛性、両方を維持するための方法に苦心しました。ここでも台形のメリットが活き、人差し指と親指そのものをTRAPEzの構造の一部とすることで剛性の確保ができ、組み立てを大幅に簡略化できました。

よりシンプルに、『コ』をたくさん使う

パーツは設計の終盤に9つまで絞れましたが、シンプルさに欠け、組み立て方法も分かりにくく外装にツギハギが見えていました。パーツの組み方、分割方法を何度も組み直していくうち、折り返しの構造を内部で組み合わせることにより、外からは見えない『コ』の構造がいくつもできました。この構造は結果的に剛性確保や光漏れを防ぐ役割を持ちました。最終的には4つのパーツとレンズのみでTRAPEzを組み上げる事ができました。

おわりに

TRAPEzは立上げたコンセプトと、実現するためのアイデアが複雑に絡み合い、それを解決するためにデザインがシンプルになっていきました。動画だけでは伝わらない内容をサイトのほうで解説しました。
もしお手にとる機会がありましたら、シンプルな構造の裏側にどんな苦労があったかを想像してみてくださると助かります。